言葉の発達(2)
1歳を過ぎてくると少しずつ赤ちゃんとのコミュニケーションがとれるようになってきて、大変な子育ても癒される瞬間が増えてきます。そして周りの子どもとつい発達を比べてしまうのもこの頃です。言葉の発達はコミュニケーションに大きく関わる分、少しでも遅れを感じたら不安になってしまうこともあるでしょう。今回は言葉の発達についてと、遅れを改善するコツを2回に渡って紹介していきたいと思います。
■言葉の発達の目安
以下では平均的な子供の発達の目安を記載しています。あくまでも目安ですのでこれより早かったからといって特別優秀というわけではありませんし逆に遅れたといってもほとんどの場合は個人差の範囲内です。一度目を通してみて下さい。
1ヶ月
声を出す
音に反応する
2か月
笑う
3ヶ月
周りに反応して笑い
4か月
話しかけられると反応する
6か月
名前に反応する
10か月
1語を発する(ママなど)
12か月
名前に応じる
15か月
単語を3~4つ覚える
1歳半
車や犬などを見て名前を言う
1歳9か月
2語文を話す
2歳
300語程度
2歳半
500語程度
3~4語を組み合わせる
自分の姓名が言える
物の大小がわかる
色の識別ができる
3歳
数字を理解する(1~3程度)
※年齢とは別に言葉の発達には男女差も関係していると言われています。男子は右脳と左脳を交互に使い、女子は右脳と左脳を同時に使うことができることにこの違いが生じています。これは女子の方が脳梁が大きいため、右脳と左脳の連携がスムーズに行えるためと言われています。
■障害がある場合
子どもの言葉が遅れている親御さんの多くは、まず一番に、もしかして障害があるのでは、と心配されていると思います。多くの場合は言葉の遅れは子どもそれぞれの個性の範囲であり、数年後には全く差を感じなくなりますが、やはり稀に障害が原因で言葉の発達が遅れている場合もあります。ここで主な原因を紹介しますので思い当たるところがあれば専門家の意見を聞いてみてください。
場面緘黙症
日本では200人に一人が場面緘黙症であるといわれています。家庭内で両親や兄弟とは普通のコミュニケーションがとれていても、保育園に行くと先生やお友達と上手くお話ができないというものです。症状が重いと緊張で体が硬直してしまう場合もあります。2歳~5歳頃から発症し12~19歳頃に症状のピークを迎えることが多いです。まだ研究が進んでおらずはっきりとした原因はわかっていませんが、元々内向的な性格である子どもが入園時などの転機に発症する場合が多いとされています。
気を付けてほしいのは、これが過保護であるとか甘やかしによるものではないということです。無理にコミュニケーションをとらせようとして本人の重圧にならないように注意してください。
早期診断は本人にとってもご家族にとっても精神的な負担が軽減されますのでまずはメンタル系の小児科を標榜している病院を受診してみてください。確定的な診断は6~8歳頃まで行われないのが一般的です。保健センターの保健師さんも相談にのってくれます。
聴覚障害
まだ音に反応してボタンを押すなどはできない程の小さな幼児でも聴覚検査はできます。まず生まれてすぐに新生児聴覚スクリーニングを受けますが、そこで正常と判断されてもその後聴力が悪化することもあります。2~3歳で行う検査では本人の反応を必要としない検査で聴力を推定したり音に対する反射を利用して行う検査などがあります。もちろん2歳で言葉が出てこなくても、それをプレッシャーに感じることはありませんが聴力に問題がないと知るだけでも安心材料になるのではないでしょうか。少しでも不安な気持ちを抱えているのであれば一度耳鼻科を受診してみてはいかがでしょうか。
自閉症
2歳頃になって言葉が出てこないと、自閉症である可能性もあります。知らない人や慣れない場所での子どものふるまいで気になる点があれば一度受診してみて下さい。
言葉が出てこない原因が障害や病気などであることは稀なことです。しかし可能性が僅かでもある以上、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。親御さんが安心することでお子様が普段感じていたプレッシャーから解放されるという考え方もできます。それぞれについてここで詳細を述べることはしていませんが簡単に紹介しています。不安を抱えながら子育てをするよりは専門家のお話を聞かれた方がきっと親御さんの気持ちも楽になるはずです。